ゴールキーパーのウォーミングアップが、いつも「正面のキャッチを20本、左右に2本ずつダイビング」で終わっていませんか。体は温まっても、試合やトレーニングの最初のクロスやシュートに対応できる準備にはなっていないことがよくあります。
ウォーミングアップのゴールは「汗をかくこと」ではなく、「このあとのトレーニングで求められる状態になっていること」です。この記事では、私たちKEEPIX TEAMが使っている3段階の組み立て方と、すぐに使える10のメニューを紹介します。
ウォーミングアップは3段階で組み立てる
メニューの数で考えるのではなく、段階で考えると迷いがなくなります。私たちは次の3つに分けています(合計30分前後が目安です)。
- ① 起こす(約8分):手・足・構えをつなげる。強い負荷はまだかけない。
- ② つなげる(約12分):動きとハンドリングを1つの動作にする。セーブのあとは必ず立ち上がる。
- ③ 競う(約10分):試合に近いスピードと判断。本数は少なく、休みはしっかり。
① 起こす:手と足を目覚めさせる
1. 2球ハンドスピード
3mの距離でサーバーが胸の高さに左右交互にボールを投げ、GKはキャッチしてすぐに返します。30秒やって30秒休む、を3セット。
コーチングポイント:親指をボールの後ろに、手首はしっかり、ひじは軽く曲げる。ボールが来るのを待つのではなく、手からボールを迎えにいく。
2. ステップから構えで止まる
小さな四角形にマーカーを置き、サイドステップ・前・後ろに動きます。コーチの合図で構えの姿勢でピタッと止まり、1秒キープ。
コーチングポイント:動きよりも「止まり方」が大事。足は肩幅、体重は母指球、手は体の横ではなく前に。
3. 近距離のグラウンダー
5mの距離から左右にグラウンダーを転がし、GKは手を伸ばすのではなく、体を倒してボールの上に覆いかぶさるようにキャッチします。
コーチングポイント:下の手はボールの後ろ、上の手はボールの上。手より先に腰を落とす。芝生かマットの上で行います。
② つなげる:動きとセーブを1つにする
4. 構え → セーブ → 立ち上がり
1本セーブしたらすぐに立ち上がり、横に2歩動いて、別の角度からの2本目に備えます。
コーチングポイント:立ち上がって構え直す時間は、セーブそのものより短く。セーブしたボールを目で追い続けていたら、次の準備が遅れているサインです。
5. 低いボールと中くらいの高さの組み合わせ
2人のサーバーを5m離して立たせます。1人目が片側に低いボール、GKがセーブして立ち上がったら、2人目がすぐ反対側に腰の高さのボールを出します。
コーチングポイント:2つのセーブで体の形はまったく違います。低いボールは腰を落として手を低く、中くらいの高さは腕でしっかり壁をつくり、後ろに倒れない。
6. ニアからのななめ移動とセーブ
ニアポストからななめ後ろに中央へ移動し、ペナルティエリアの外から打たれたシュートをセーブします。
コーチングポイント:距離が長いときはサイドステップではなくクロスステップ。シュートの瞬間は止まって構えていること。
7. プレッシャーの中でのファーストパス
バックパスを受けたGKに、8m先から相手役が寄せてきます。GKは2つのターゲットのどちらかにパスを出します。
コーチングポイント:ボールが来る前に体を開いて、両方の選択肢を残しておく。多くのウォーミングアップで抜けているメニューですが、今のGKに一番多く求められるプレーです。
③ 競う:試合のスピードで終わる
8. 2方向からのシュート
ペナルティエリアの左右に立った2人が交互にシュート。GKはシュートごとにポジションを調整します。
コーチングポイント:ポジションはゴールではなくボールに合わせて動く。毎回なんとなく中央に戻っていないかチェックします。
9. 短いクロスの判断
ゴールライン付近からゴールエリアへクロス。GKは「出てキャッチ」「パンチング」「残る」を判断します。ストライカー役を1人入れると判断がリアルになります。
コーチングポイント:判断はボールが蹴られる前に。迷うことが一番危険です。最初はゆっくりのボールから始め、接触はしないルールで行います。
10. バックパスからの1対1
GKがパスを出し、受けた選手がそのまま攻撃側になってゴールに向かいます。GKはパスを出す役から、シュートを止める役へすぐに切り替えます。
コーチングポイント:相手が下を向いてボールを運んでいる間に距離をつめ、顔が上がったら止まって構える。できるだけ長く大きく立っている。倒れるときは横向きに、手を先に出します。
安全に行うための注意点
- ダイビングやグラウンダーのセーブは、芝生かマットの上で行う。
- 強さは少しずつ上げる。いきなり全力のシュートを打たない。
- 左右どちらも同じ本数。苦手な側から逃げない。
- 小学生年代は、ひざ立ちからのセーブなど、やさしい形にして行う。
KEEPIXでメニューを形にする
ウォーミングアップは、書き残しておかないと毎週バラバラになります。私たちは3段階を1つのブロックとしてKEEPIXのセッションデザイナーで作り、どのトレーニングにもすぐ入れられるようにしています(KEEPIXは日本語でも使えます)。
英語版のくわしいガイドはGoalkeeper warm-up drills(英語)、75分のトレーニングの組み立て方はGoalkeeper session plan(英語)で紹介しています。毎日のドリルはインスタグラムでも発信中です。
まとめ
- ウォーミングアップは「起こす・つなげる・競う」の3段階で組み立てる。
- ②と③のセーブには、必ず立ち上がりをセットにする。
- 足元のパスをプレッシャーの中で入れる。
- 最後は判断のあるメニューで、試合のスピードで終える。
- 形は毎週同じにして、中身を変える。だから成長が見える。
よくある質問
GKのウォーミングアップは何分くらいが目安ですか?
30分前後が目安です。「起こす」約8分、「つなげる」約12分、「競う」約10分に分けると、時間が短いときも削る場所がはっきりします。
ウォーミングアップでダイビングはしてもいいですか?
はい。ただし、いきなりではなく、近距離のグラウンダーや体を倒すセーブから始めて、体が温まってから大きなダイビングに進みます。芝生かマットの上で行ってください。
GKが1人だけでもできますか?
できます。コーチがサーバーになれば、ほとんどのメニューは1人のGKで行えます。2方向からのシュートは、コーチが場所を変えて交互に打つ形にします。
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