正面のシュートをはじいてしまい、こぼれ球を押し込まれる。ゴールキーパーなら一度は経験したことがある場面です。派手なセーブよりも、まずは「来たボールを確実につかむ」ことが、チームに一番安心を与えます。
キャッチングは才能ではなく、正しい形と本数で上達する技術です。この記事では、私たちKEEPIX TEAMがトレーニングで使っているキャッチングの練習メニュー8つを、コーチングポイント・やさしくする方法・むずかしくする方法といっしょに紹介します。
なぜキャッチングの練習が大切なのか
ボールをキャッチできれば、そこでプレーが止まり、相手の2本目のチャンスがなくなります。さらに、つかんだボールからすぐに味方へ配球でき、攻撃のスタートにもなります。逆に、はじくクセがつくと、毎回こぼれ球への対応が必要になり、守備全体が不安定になります。
チーム練習ではシュートの本数は多くても、手の形や体の使い方をていねいに見る時間は少ないものです。短い時間でも、キャッチングだけに集中する時間をつくることが上達への近道です。
すべてのメニューに共通する3つの基本があります。
- ① 手の形をつくる:胸より上のボールは、両手の親指と人さし指で「W」の形をつくってボールの後ろに置く。胸より下のボールは、小指どうしを近づけて手のひらを上に向ける。
- ② 体で壁をつくる:手だけでなく、手の後ろに体を入れる。手で取りそこねても、体が二つ目の壁になる。
- ③ つかんだら守る:キャッチしたらすぐに胸にかかえこむ。ボールを見たまま、最後まで目を離さない。
安全のための注意:体を倒すキャッチは、必ず芝生かマットの上で行います。ボールの強さは少しずつ上げ、いきなり全力のシュートは打ちません。小学生年代はやわらかいボールや軽いボールを使い、短い距離から始めてください。
GKのキャッチング練習メニュー8選
1. 手の形チェック(その場キャッチ)
コーチが3mほどの距離から、胸・顔・おなかの高さに下手でボールを投げます。GKはその場でキャッチし、つかんだ形のまま1秒止まります。コーチは手の形を毎回チェックします。
- コーチングポイント:高さによって手の形を変える。指は軽く開き、ボールを迎えにいく。
- やさしくする方法:ボールを手渡しに近い形で、ゆっくり出す。
- むずかしくする方法:高さをランダムにし、投げるスピードを上げる。
2. 2球交互キャッチ
コーチが2つのボールを持ち、GKの左右の胸の高さに交互に投げます。GKはキャッチしてすぐに返し、次のボールに備えます。30秒やって30秒休む、を3セット行います。
- コーチングポイント:手首をしっかり固め、ひじは軽く曲げる。足も小さく動かしてボールの正面に入る。
- やさしくする方法:ボール1つにして、テンポをゆっくりにする。
- むずかしくする方法:テンポを上げ、高さにも変化をつける。
3. グラウンダーのすくい上げ
コーチが正面にグラウンダーを転がします。GKはボールの正面に入り、足の間からボールが抜けないようにして、手のひらですくい上げて胸にかかえます。
- コーチングポイント:小指どうしを近づけ、手のひらを前に向ける。かかとを近づけて、足も壁にする。
- やさしくする方法:ゆっくり転がし、GKは準備した姿勢から始める。
- むずかしくする方法:少し左右にずらして転がし、ステップでボールの正面に入らせる。
4. おなかの高さのボールをかかえこむ
コーチが5mの距離から、おなかの高さにボールを投げるか、やさしく蹴ります。GKは腕と体でボールを包みこむようにキャッチします。正面のシュートで一番はじきやすい高さなので、ていねいに行います。
- コーチングポイント:少し前かがみになり、ボールを体に引きこむ。後ろに倒れない。
- やさしくする方法:手で投げる、やわらかいボールを使う。
- むずかしくする方法:蹴る距離をのばし、スピードを少しずつ上げる。
5. ハイボールキャッチ
コーチが頭より少し高い位置にボールを投げます。GKは片足で踏み切り、反対のひざを上げて、一番高いところでキャッチします。
- コーチングポイント:W の形で、頭の少し前でつかむ。キャッチしたらすぐに胸に下ろす。
- やさしくする方法:ジャンプなしで、両足で立ったままキャッチする。
- むずかしくする方法:投げる方向を左右に変え、1〜2歩動いてからジャンプさせる。
6. ひざ立ちからの横のキャッチ
マットの上でひざ立ちになり、コーチが左右に低いボールを投げます。GKは体を横に倒しながらキャッチします。体を倒すキャッチの入り口として、低い姿勢から安全に練習できます。
- コーチングポイント:下の手はボールの後ろ、上の手はボールの上。体の横側から着地し、頭から地面に向かわない。
- やさしくする方法:座った姿勢から、横に転がるボールをつかむ。
- むずかしくする方法:しゃがんだ姿勢から始め、ボールを少し遠くに出す。
7. 移動してからのキャッチ
GKはマーカーの間をサイドステップで移動し、コーチの合図で構えて止まります。止まった瞬間にコーチがボールを投げるか蹴り、GKがキャッチします。試合では止まった状態から始まることはほとんどないので、動きとキャッチをつなげる練習です。
- コーチングポイント:ボールが来る瞬間は足を止めて構えている。体重は母指球に。
- やさしくする方法:移動の距離を短くし、止まってから少し間をあけて投げる。
- むずかしくする方法:前後の移動も加え、止まってすぐにボールを出す。
8. キャッチして配球
ペナルティエリアの外からシュートを打ち、GKはキャッチしたらすぐに顔を上げ、左右にいる味方役にスローで配球します。キャッチをプレーの終わりではなく、攻撃の始まりにする練習です。
- コーチングポイント:まず確実につかむ、次にまわりを見る、最後に投げる。順番をまちがえない。
- やさしくする方法:配球の相手は1人に固定する。
- むずかしくする方法:味方役を2人にし、コーチが最後に空いている方を手で示す。
コーチングのコツ
キャッチングの練習では、ボールの質がすべてです。コースがバラバラだと、GKは正しい形をくり返せません。最初は同じコース・同じ強さで本数を重ね、形が安定してから変化をつけます。また、はじいたときに「なぜはじいたか」をGK自身に聞くと、手の形なのか、体の位置なのかを自分で考えられるようになります。左右どちらも同じ本数を行い、苦手な側から逃げないことも大切です。
キャッチングの前の準備にはGKのウォーミングアップメニュー、小学生向けのやさしいメニューは小学生GKの練習メニューで紹介しています。英語版のくわしいガイドはGoalkeeper handling drills(英語)、テーマ別のドリル一覧はGoalkeeper drills(英語)にまとめています。
KEEPIXでメニューを形にする
キャッチングのメニューは、書き残しておくと毎週の成長が見えるようになります。私たちはKEEPIXのセッションデザイナーでサーバーの位置やGKの動きを図にして、GKと共有しています(KEEPIXは日本語でも使えます)。
ほかのメニューのアイデアはGKドリル50選の無料PDF(英語版)で、毎日のドリルはインスタグラムで発信しています。練習のふり返りにはKEEPIX Diaryも使ってみてください。
まとめ
- ボールの高さによって手の形を変える。
- 手の後ろに体を入れて、二つ目の壁をつくる。
- つかんだらすぐに胸にかかえこむ。
- 体を倒すキャッチは芝生かマットの上で、低い姿勢から始める。
- 動きとキャッチ、キャッチと配球をつなげて練習する。
よくある質問
GKのキャッチングで一番大切なことは何ですか?
手の形と、手の後ろに体を入れることです。手で取りそこねても体が壁になるので、はじいたボールが後ろにそれにくくなります。
キャッチングの練習は1人でもできますか?
できます。壁にボールを当てて跳ね返りをキャッチする方法なら、1人でも手の形をくり返し練習できます。最初は近い距離から、やさしい強さで行いましょう。
はじいてしまうクセはどうすれば直りますか?
まずはボールのスピードを落とし、正しい形でつかむ本数を増やします。形が安定してから少しずつ強さを上げると、自信を持ってつかめるようになります。
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