GKの仕事は、シュートを止めることだけではありません。ボールをキャッチしたあと、味方にボールを届けて攻撃を始めることも大切な仕事です。このボールを味方に送るプレーを、日本では「フィード」と呼びます。
この記事では、私たちKEEPIX TEAMがすすめるGKのフィードの基本と、チーム練習や個人練習でできる練習メニューを8つ紹介します。手で投げるスロー、手から落としてけるパントキック、止まったボールをけるキックまで、小学生から高校生まで使えるように「やさしくする方法」と「むずかしくする方法」ものせています。
GKのフィードが大切な理由
GKがボールを持った瞬間は、相手の守備がまだそろっていないことがよくあります。そこですばやく正確に味方へボールを出せれば、一気にチャンスをつくれます。反対に、あわてて相手にボールをわたしてしまうと、すぐにピンチになります。
いいフィードには、「正確さ」「速さ」「判断」の3つが必要です。ねらった場所にとどける技術、相手がもどる前に出すスピード、そしてだれに出すかを見て決める判断です。どれも練習でのびる力なので、セービングと同じように毎週のメニューに入れていきましょう。
フィードの種類と使い分け
- ローリングスロー(転がすスロー):近くの味方に、ボウリングのように地面を転がして出す。いちばん正確で、受ける味方もトラップしやすい。
- オーバーハンドスロー:肩の上から腕を大きくふって投げる。20〜30mほど先の味方にとどけたいときに使う。
- サイドスロー:横から低く速く投げる。相手の頭の上をこさず、低いボールでとどけたいときに使う。
- パントキック:手からボールを落として、地面につく前にける。遠くまでとばしたいときに使う。
- ドロップキック:ボールが地面についてはね上がった瞬間にける。低く速いボールになりやすい。
- ゴールキック・止まったボールのキック:近くの味方へのパスから、遠くへのロングキックまで使い分ける。
大切なのは、「近くはスロー、遠くはキック」を基本にしながら、味方の位置と相手の位置を見て選ぶことです。
安全に行うための注意点
- 練習の前に、肩・うで・足首・ももの付け根をしっかり動かしてあたためる。いきなり全力でけったり投げたりしない。
- キックやスローは短いきょりから始めて、少しずつ遠くにする。
- ボールが飛んでいく先に人がいないか、毎回かくにんしてからける。
- 小学生は軽いボールや小さいサイズのボールを使い、本数を少なめにする。
- キャッチをともなう練習は、やわらかい芝生かマットの上で行う。頭からとびこまない。
- 同じ足・同じうでばかり使いすぎないように、休けいをこまめにとる。
GKのフィード練習メニュー8選
1. ローリングスロー・ペア
2人で10mほどはなれて向かい合い、ローリングスローでボールを転がし合います。ボールが地面をはねずに、まっすぐ相手の足元にとどくことを目指します。いちばん基本のフィードなので、ウォーミングアップに入れるのがおすすめです。
- コーチングポイント:ボールを持つ手と反対の足を前にふみ出し、ひざを曲げて低い姿勢から転がす。最後は指先でねらう方向をさす。
- やさしくする方法:きょりを5mにちぢめ、両手で転がしてもよいことにする。
- むずかしくする方法:きょりを20mまでのばし、受ける選手が動きながらボールを受けるようにする。
2. オーバーハンドスローのゾーン当て
GKから20mほど先に、コーンで3m四方のゾーンを2〜3個つくります。コーチが番号を言ったら、GKはそのゾーンにボールが落ちるようにオーバーハンドスローで投げます。ねらった場所に投げる力と、遠くまで投げる力の両方をきたえます。
- コーチングポイント:横向きになり、うでをのばして大きくふる。体重を後ろ足から前足へうつしながら投げる。
- やさしくする方法:ゾーンを大きくし、きょりを10〜15mにする。
- むずかしくする方法:ゾーンの中に選手を立たせて、選手の足元にとどくボールを投げる。
3. パントキック・ドロップキックの的当て
ペナルティエリアの中からGKがパントキックをけり、ハーフウェーライン近くの広いゾーンをねらいます。慣れてきたらドロップキックにも挑戦します。けったあと、ボールがどこに落ちたかをコーチがすぐに伝えると、修正しやすくなります。
- コーチングポイント:ボールを高く投げ上げず、腰の高さから足の前にそっと落とす。足首を固めて、足の甲の真ん中で当てる。
- やさしくする方法:きょりを短くして、ゾーンも大きくする。まずは「まっすぐ飛ぶこと」だけを目標にする。
- むずかしくする方法:ゾーンを小さくし、左右の2つのゾーンをコーチの合図でけり分ける。
4. 止まったボールのショートとロング
ゴールエリアのラインにボールを置き、近くの味方へのショートパスと、遠くの味方へのロングキックを交互にけります。ゴールキックで「つなぐ」か「遠くへける」かを選ぶ練習になります。
- コーチングポイント:ショートは足の内側で正確に、ロングは助走をとって足の甲で。けったあとも足をしっかりふりぬく。
- やさしくする方法:ロングキックのきょりを短くし、まずはショートパスを10本中8本とどけることを目標にする。
- むずかしくする方法:けるまでの時間を5秒以内にするルールをつけ、すばやく判断してける。
5. バックパスからのフィード
コーチが味方役としてGKにバックパスを出します。GKはトラップして顔を上げ、左右にいる2人の選手のうち、コーチが手をあげて合図した方にパスを出します。足でのフィードと、バックパスの処理をいっしょに練習できます。
- コーチングポイント:ボールが来る前に左右を見ておく。最初のタッチで、出したい方向へボールを置く。
- やさしくする方法:2タッチ以上OKにして、相手役はつけない。
- むずかしくする方法:相手役を1人つけてプレッシャーをかけ、1〜2タッチでフィードする。
6. キャッチからすばやく再開
コーチがシュートを打ち、GKはキャッチします。キャッチと同時に、サイドの選手が前に走り出します。GKはすぐに顔を上げ、走り出した選手の前のスペースにスローでボールを出します。試合でよくあるカウンターの場面です。
- コーチングポイント:キャッチしたらまず前を見る。走る選手の足元ではなく、少し前のスペースをねらって投げる。
- やさしくする方法:シュートを手で投げる弱いボールにし、選手は止まったまま受ける。
- むずかしくする方法:反対側にも選手を立たせ、コーチが「右」「左」と言った方にすばやく出す。
7. 見て選ぶフィード
GKの前に味方の選手を3人ならべ、相手役を1人入れます。GKがボールを持ったら、相手役は3人のうちだれか1人に近づきます。GKは相手がよせていない、フリーの選手を見つけてボールを出します。「だれに出すか」を考える力がつきます。
- コーチングポイント:ボールを持ったらすぐに出さず、まず全体を見る。フリーの選手には、一番正確なフィードを選ぶ。
- やさしくする方法:相手役はゆっくり歩いて動き、GKに考える時間をあたえる。
- むずかしくする方法:相手役を2人にふやし、フリーになる選手を1人だけにする。
8. フィードありのミニゲーム
20m×30mくらいのコートで4対4のミニゲームをします。GKがボールを持ったら、必ずGKからフィードで攻撃を始めるルールにします。GKのフィードから始まった攻撃でゴールが決まったら、2点にします。
- コーチングポイント:ボールを持ったら、相手がもどる前にすばやく出す。ただし、あせって相手にわたさない。
- やさしくする方法:GKがボールを持ったら、相手チームは自分の陣地まで下がるルールにする。
- むずかしくする方法:相手チームはすぐにプレッシャーをかけてよいことにする。
練習を組み立てるコツ
フィードの練習は、「正確にとどける(1・2・4)」→「遠くへとばす(3)」→「見て判断する(5・7)」→「試合の中で使う(6・8)」の順に進めるのがおすすめです。はじめは近いきょりで、ねらった場所にとどけることを大切にしましょう。遠くにとばすのは、そのあとで大丈夫です。
フィードはキャッチがしっかりできてこそ生きるプレーです。キャッチの基本はGKのキャッチング練習メニュー、英語になりますが、くわしいフィードのドリルはGoalkeeper distribution drills(英語)にもまとめています。
KEEPIXでメニューを形にする
フィードの練習は、選手の位置やボールの通り道を図で見せると、ぐっと伝わりやすくなります。KEEPIXのセッションデザイナーを使えば、ゾーンの場所や選手の動き、フィードのコースを図にして、コーチングポイントといっしょに共有できます。毎日の練習の記録や振り返りにはKEEPIX Diaryが便利です。
もっとメニューを増やしたい人は、GKドリル50選の無料PDF(英語)をダウンロードしてください。毎日のドリルはインスタグラムでも発信中です。ほかの練習メニューはGKドリル一覧にまとめています。
まとめ
- フィードは、GKが攻撃を始めるための大切なプレー。
- 「正確さ」「速さ」「判断」の3つを練習でのばす。
- 近くはスロー、遠くはキックを基本に、味方と相手の位置を見て選ぶ。
- キャッチしたら、まず前を見るくせをつける。
- 短いきょりから始めて、少しずつ遠くにする。
- 体をしっかりあたため、子どもは軽いボールで本数を少なめに。
よくある質問
GKのフィードとは何ですか?
GKがキャッチしたボールや足元のボールを、スローやキックで味方に送るプレーです。攻撃のスタートになるので、正確さと速さ、そしてだれに出すかの判断が大切です。
スローとキックは、どう使い分ければいいですか?
近くの味方には正確なスロー、遠くの味方にはキックが基本です。ただし、相手の位置や味方の動きによって変わるので、ボールを持ったらまず全体を見てから選びましょう。
小学生のGKでもフィードの練習はできますか?
できます。軽いボールを使い、短いきょりのローリングスローから始めましょう。遠くにとばすことよりも、ねらった味方にとどけることを大切にすると、楽しく上達できます。
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