中学生になると、ゴールの大きさもボールのスピードも一気に変わります。小学生のころは止められていたシュートが急に届かなくなったり、背が伸びて動きがぎこちなくなったりするのは、よくあることです。だからこそ、この年代の練習メニューは「強く・たくさん」ではなく「正しく・くり返す」ことが大切です。
この記事では、私たちKEEPIX TEAMが中学生のゴールキーパーに使っている考え方と、すぐに使える7つの練習メニューを紹介します。GKコーチがいないチームでも、フィールドのコーチや保護者がサーバーになれば行える内容です。
なぜ中学生年代の練習が大切なのか
中学生年代は、体が大きく変わる時期です。身長が伸びる時期は、手足の長さに動きが追いつかず、ステップやダイビングのタイミングがずれやすくなります。ここで無理に強いシュートを受け続けると、フォームがくずれたり、ケガにつながったりします。
一方で、この時期にきちんとした基本を身につけたGKは、体が大きくなったときにその力を一気にプレーに出せます。構え、キャッチ、倒れ方、ポジション、判断。この土台を、毎週少しずつ積み上げていきましょう。
練習メニューを組むときの3つの考え方
- ① 基本を毎回入れる:構えとキャッチは、どの日の練習にも必ず入れる。短い時間でもいいので、くり返すことが大事です。
- ② 強さは少しずつ上げる:近い距離・弱いボールから始めて、できたら距離とスピードを上げる。いきなり全力のシュートは打たない。
- ③ 最後は判断のあるメニューで終える:止めるだけでなく、「出る・残る」「キャッチ・弾く」を自分で決める場面をつくる。
安全に行うための注意点:ダイビングや倒れる練習は、必ず芝生かマットの上で行います。頭から地面やゴールポストに突っこむ動きはさせず、倒れるときは体の横から、手を先に出すようにします。成長期で痛みがある選手は、無理をさせずに本数を減らしてください。
中学生GKの練習メニュー7選
1. 構えとステップ
マーカーで小さな四角形をつくり、サイドステップ・前・後ろに動きます。コーチの合図で構えの姿勢でピタッと止まり、1秒キープします。
- コーチングポイント:足は肩幅、体重は母指球、手は体の前。止まったときに上半身がぶれないか見る。
- やさしくする方法:ゆっくり歩くスピードで動き、止まる形だけ確認する。
- むずかしくする方法:止まった直後にコーチがボールを投げ、キャッチまでつなげる。
2. 正面キャッチの3つの高さ
5〜6mの距離から、コーチが胸・おなか・足もとの3つの高さにボールを出します。GKはそれぞれの高さに合った手の形でキャッチします。
- コーチングポイント:胸より上は親指と人さし指で「W」の形、おなかから下は手のひらを上に向けてすくう。キャッチしたらすぐ胸に抱える。
- やさしくする方法:手で投げる。高さを1つずつ順番に出す。
- むずかしくする方法:足でボールを出し、高さをランダムにする。
3. グラウンダーと倒れ方
GKの左右1〜2m先にグラウンダーを転がします。GKは腰を落として体を横に倒し、ボールに覆いかぶさるようにキャッチします。ダイビングの土台になる練習です。
- コーチングポイント:下の手はボールの後ろ、上の手はボールの上。ひざ・腰・肩の順で体の横から地面につく。
- やさしくする方法:ひざ立ちから横に倒れてキャッチする。
- むずかしくする方法:立った姿勢から、少し遠いボールにステップしてから倒れる。
4. ダイビングセーブと立ち上がり
マットや芝生の上で、ゴールの左右に低いボールを出します。セーブしたらすぐに立ち上がり、反対側の2本目に備えます。
- コーチングポイント:ボールに近い足でななめ前に踏み出す。手を先に出し、体の横で着地する。立ち上がりはセーブより速く。
- やさしくする方法:しゃがんだ姿勢から、短い距離でダイビングする。
- むずかしくする方法:2本目のボールの高さや方向を変える。
5. シュートに合わせたポジション
ペナルティエリアの外に、左・中央・右の3か所にボールを置きます。コーチが場所を言ったら、GKはそのボールに合わせてポジションを取り直し、構えたところでシュートを受けます。
- コーチングポイント:ボールと両ポストを結んだ三角形の中心に立つ。シュートの瞬間は止まって構えている。
- やさしくする方法:シュートは打たず、ポジションだけをコーチと確認する。
- むずかしくする方法:ドリブルで場所を変えてからシュートし、動きながらポジションを合わせる。
6. 足もとのパスとビルドアップ
バックパスを受けたGKが、左右2つのターゲットのどちらかにパスを出します。今のGKには足もとの技術も欠かせません。
- コーチングポイント:ボールが来る前に体を開いてまわりを見る。ファーストタッチで蹴りやすい場所にボールを置く。
- やさしくする方法:相手役なし、ターゲットは1つにする。
- むずかしくする方法:相手役が寄せてきて、空いているターゲットを選んで出す。
7. 1対1の判断ゲーム
ハーフウェイ寄りから攻撃役がドリブルでゴールに向かい、GKは1対1で対応します。最後はゲーム形式で、得点とセーブを数えて楽しく終えましょう。
- コーチングポイント:相手が下を向いているときに距離をつめ、顔が上がったら止まって構える。倒れるときは横向きに、手を先に出す。頭から足もとに飛びこまない。
- やさしくする方法:攻撃役はゆっくりドリブルし、シュートは弱めにする。
- むずかしくする方法:後ろから守備役を追いかけさせ、攻撃役が早くシュートを打つ状況にする。
コーチへのアドバイス
中学生年代は、うまくいかない時期があっても当たり前です。止めたかどうかだけでなく、「構えができていた」「判断が早かった」など、よかったところを具体的にほめてあげてください。1回の練習で伝えるポイントは1つか2つにしぼると、選手も迷いません。練習の前にはGKのウォーミングアップメニューで体をしっかり準備しましょう。ダイビングの細かい技術はGoalkeeper diving drills(英語)でも紹介しています。テーマ別のドリルはGKドリル一覧(英語)にまとめています。
KEEPIXでメニューを形にする
練習メニューは、書き残しておかないと毎週バラバラになります。私たちはKEEPIXのセッションデザイナーでメニューを図にして、選手やほかのコーチと共有しています(KEEPIXは日本語でも使えます)。もっとドリルを知りたい方はGKドリル50選の無料PDFをどうぞ。毎日のドリルはインスタグラムで発信中です。練習のふり返りにはKEEPIX Diaryも使えます。
まとめ
- 中学生GKは「強く・たくさん」より「正しく・くり返す」。
- 構えとキャッチは、毎回の練習に必ず入れる。
- 距離とスピードは少しずつ上げる。
- 倒れる練習は芝生かマットの上で、頭から突っこまない。
- 最後は判断のあるゲームで、試合につなげて終える。
よくある質問
中学生GKの練習は1回何分くらいが目安ですか?
チーム練習の中でGK専用の時間を30〜45分取れると理想的です。短い日でも、構えとキャッチだけは10分ほど入れておきましょう。
中学生でもダイビングの練習をしていいですか?
はい。ただし芝生かマットの上で、ひざ立ちやしゃがんだ姿勢など低い位置から始めます。体の横から着地する形ができてから、立った姿勢のダイビングに進みます。
GKコーチがいないチームでも練習できますか?
できます。この記事のメニューは、フィールドのコーチや保護者、チームメイトがサーバーになれば行えます。ボールの強さは弱めから始めてください。
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