コーナーキックやクロスで、高いボールがゴール前に飛んでくる。まわりには相手もみかたもたくさんいて、キャッチするのはむずかしい。そんなときにGKを助けてくれるのが「パンチング」です。こぶしでボールを強くはじき、ゴールから遠ざけるプレーです。
パンチングは、ただボールをたたけばいいわけではありません。「どこに」「どのくらい遠くに」はじくかで、そのあとのピンチの大きさが変わります。この記事では、私たちKEEPIX TEAMがすすめるパンチングの考え方と、安全に上達できる練習メニューを7つ紹介します。
パンチングが大切な理由
GKの一番の仕事はゴールを守ることですが、それだけではありません。こぼれ球を相手にひろわれないように、ピンチを「終わらせる」ことも大切な仕事です。キャッチできないボールを無理につかもうとすると、手からこぼれて、すぐに失点につながることがあります。
パンチングを正しく身につけると、「キャッチがむずかしいときの安全な選択肢」が増えます。選択肢があると気持ちに余裕が生まれ、落ち着いて判断できるようになります。
キャッチか、パンチングか?判断のルール
まず大切なのは「キャッチできるならキャッチ」です。そのうえで、次のようなときはパンチングを選びます。
- 人が多いとき:相手やみかたが近くにいて、ボールをしっかりつかむ自信がないとき。
- ボールが遠いとき:手を伸ばしてやっと届くような高さや位置のとき。
- ボールが重い・すべるとき:雨の日でボールがすべりやすいときや、強いボールのとき。
- 迷ったら遠くへ:パンチングを選んだら、「高く・遠く・横へ」をいつも意識する。
判断は早くするのがコツです。とび出してから迷うと、パンチもキャッチも中途半端になってしまいます。
パンチングの基本フォーム
- こぶしの作り方:指をしっかりにぎり、親指は外に出して人さし指と中指の横にそえる。親指をにぎりこまない。
- 当てる場所:こぶしの平らな面(指の付け根の部分)で、ボールの下半分から中心をねらう。
- 両手パンチ:正面から来るボールは、両方のこぶしをそろえて、まっすぐ前に押し出すように打つ。
- 片手パンチ:横から来るボールや、体の流れと逆に飛ばしたいときは片手で打つ。
- ひじを使う:腕だけでたたくのではなく、ひじを曲げた状態から、ボールに向かって腕を伸ばす。
- ひざを上げる:ジャンプするときは片ひざを上げて、自分の体を守りながら高さを出す。
安全に行うための注意点
- 最初はボールをキャッチの高さで手で投げてもらい、ジャンプなしで始める。強さとスピードは少しずつ上げる。
- 相手役を入れるときは、まず「立っているだけ」から。いきなり体をぶつけ合わない。
- パンチはボールだけをねらう。人の顔や頭に向けてこぶしを出さない。
- 着地は両足で。倒れるときは体の横から落ち、頭から地面に落ちないようにする。
- 練習は芝生や柔らかい地面で行い、ゴールポストのまわりはボールやマーカーを片づけておく。
- 小学生など小さい選手は、軽いボールややわらかいボールを使い、本数を少なめにする。
GKのパンチング練習メニュー7選
1. ひざ立ち両手パンチ
GKはマットか芝生の上でひざ立ちになります。コーチは2〜3mの距離から、顔の少し上にボールをやさしく投げます。GKは両手のこぶしをそろえて、コーチの頭の上をこえるようにボールを押し出します。10本を2セットが目安です。
- コーチングポイント:こぶしは顔の前でかまえる。ボールの下半分をねらって、前と上に押し出す。
- やさしくする方法:ボールを軽いものにかえる。投げる高さを低くして、こぶしの形だけを確認する。
- むずかしくする方法:投げる距離を少しはなす。左右にずらして投げ、手を伸ばして届かせる。
2. 立ったまま片手パンチ
GKは立った姿勢でかまえます。コーチは体の右側、左側の頭より高い位置にボールを投げます。GKは同じ側の片手で、ボールをななめ前の遠くへはじきます。マーカーを置いて、ねらう方向を決めておくとわかりやすくなります。
- コーチングポイント:ひじを曲げたところから伸ばす。ボールの真ん中より少し下をとらえる。
- やさしくする方法:投げるボールをゆっくり、高さを低くする。
- むずかしくする方法:左右をランダムにして、投げる直前までどちらに来るかわからないようにする。
3. ターゲットゾーンをねらう
ペナルティエリアの外の左右に、マーカーで大きなゾーンを2つ作ります。コーチがゴール前に高いボールを投げ、GKはパンチングでボールをどちらかのゾーンに入れます。ゴールの正面に落ちたら0点です。
- コーチングポイント:「高く・遠く・横へ」。ゴール前の真ん中には返さない。
- やさしくする方法:ゾーンを大きくし、近い距離から投げる。
- むずかしくする方法:ゾーンを小さくする。足でけったボールに変える。
4. ジャンプからのパンチング
GKは3〜4m下がった位置から助走し、片ひざを上げてジャンプし、一番高いところでボールをパンチします。コーチは手でボールを投げます。キャッチの基本はGKのキャッチング練習メニューもあわせて見てください。
- コーチングポイント:ふみきりは片足。ボールに近い側のひざを上げて体を守る。着地は両足で。
- やさしくする方法:助走なしで、その場でジャンプして打つ。
- むずかしくする方法:助走の方向を変える。ボールの高さやスピードをばらばらにする。
5. 立っている相手役ありのパンチング
GKの前に、ビブスを着た相手役やみかた役を1〜2人立たせます。相手役は最初は動かず、立っているだけ。コーチがその上にボールを投げ、GKは声を出してからとび出してパンチします。
- コーチングポイント:とび出す前に大きな声で「キーパー!」。人ではなくボールだけを見る。
- やさしくする方法:人をGKから少しはなれた位置に立たせる。
- むずかしくする方法:相手役が軽く手を上げてジャンプする。体をぶつけるのはなし。
6. クロスからのパンチング
サイドからコーチや選手がクロスを上げ、GKはゴール前でパンチングします。キャッチできるボールはキャッチ、むずかしいボールはパンチング、と判断をまぜるのがポイントです。クロス対応のくわしいメニューはGoalkeeper crossing drills(英語)も参考になります。
- コーチングポイント:ボールが上がった瞬間に判断する。体の向きはボールとゴールが両方見えるように半身で。
- やさしくする方法:手で投げるクロスから始める。ゴール前の近いところに上げる。
- むずかしくする方法:足でけるクロスにする。ニアとファーをまぜる。
7. パンチング後のセカンドボール
GKがパンチングでボールをはじいたら、すぐにコーチが2球目のシュートを打ちます。パンチして終わりではなく、すぐに構えにもどることを練習します。
- コーチングポイント:着地したらすぐに顔を上げ、ボールのある方向に体を向けて構える。
- やさしくする方法:2球目はゆっくりの転がるボールにする。
- むずかしくする方法:2球目をすばやく、いろいろな方向から打つ。
練習を組み立てるコツ
パンチングは、キャッチの練習をしっかりやってから始めるのがおすすめです。1回の練習では「ひざ立ち → 立ったまま → ジャンプ → 人あり → クロス」の順に、少しずつむずかしくしていきます。ジャンプや人がいる練習は、本数を少なめにして、休けいをとりながら行いましょう。上手にはじけたときだけでなく、「早く判断できた」「大きな声が出せた」ときにもほめてあげると、GKは自信をもってプレーできます。ほかの練習メニューはGKドリル一覧(英語)にまとめています。
KEEPIXでメニューを形にする
練習メニューは、図にして残しておくと選手にもわかりやすくなります。KEEPIXのセッションデザイナーを使えば、ターゲットゾーンや相手役の位置、クロスを上げる場所を図にして、コーチングポイントといっしょに共有できます。毎日の練習の記録や振り返りにはKEEPIX Diaryが便利です。
もっとメニューを増やしたい人は、GKドリル50選の無料PDF(英語)をダウンロードしてください。毎日のドリルはインスタグラムでも発信中です。
まとめ
- キャッチできるならキャッチ。むずかしいときはパンチングを選ぶ。
- パンチングは「高く・遠く・横へ」。ゴール前の真ん中には返さない。
- こぶしは親指を外に出してしっかりにぎり、ボールの下半分をねらう。
- とび出すときは「キーパー!」と声を出し、ボールだけを見る。
- ひざ立ちから始めて、少しずつジャンプや人ありの練習に進む。
- パンチのあとはすぐに構えにもどる。
よくある質問
GKはどんなときにパンチングをすればいいですか?
人が多くてしっかりつかむ自信がないとき、ボールが遠くて手を伸ばしてやっと届くとき、雨でボールがすべりやすいときなどです。キャッチできるボールは、まずキャッチを選びましょう。
パンチングは両手と片手、どちらがいいですか?
正面から来るボールは両手、横から来るボールや遠くのボールは片手が向いています。どちらも「高く・遠く・横へ」はじくことを意識してください。
小学生にもパンチングを教えていいですか?
はい。軽いボールを使い、ひざ立ちでやさしく投げてもらうところから始めましょう。相手役とぶつかる練習はせず、本数を少なめにして安全に行ってください。
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