味方の守備ラインの裏に、相手がスルーパスやロングボールを出してきたとき、GKには大きな判断がまっています。「前に出てボールを取るか」「ゴールの前で待つか」です。出るのがおそいと相手にシュートを打たれ、出るのが早すぎたり、まよったりすると、ゴールががら空きになります。この判断と動きを「飛び出し」とよびます。
この記事では、私たちKEEPIX TEAMがすすめる「GKの飛び出し練習メニュー」を8つ紹介します。スタートの構えと1歩目、出るか待つかの判断、ペナルティエリアの外での足のクリア、出たあとの戻り方、味方への声までをまとめました。それぞれに「コーチングポイント」「やさしくする方法」「むずかしくする方法」をのせているので、小学生から高校生まで、レベルに合わせて使ってください。
なぜGKに飛び出しの練習が必要なのか
いまのサッカーでは、守備ラインを高くするチームがふえています。そのぶん、ラインの裏には広いスペースができます。GKがそのスペースを守れると、味方のディフェンダーは安心して前で守れます。反対に、GKがゴールの前から動けないと、裏へのボール1本で1対1の場面になってしまいます。
飛び出しで大切なのは、足の速さよりも「早く判断すること」と「決めたらまよわないこと」です。そのためには、ふだんの立ち位置と、ボールが出た瞬間の1歩目が大切です。立ち位置の基本はGKのポジショニング練習メニューで、出たあとの1対1はGKの1対1練習メニューでくわしく紹介しています。英語の記事Sweeper Keeper Drills(英語)もあわせて参考にしてください。
安全に行うための注意点
- 走る練習の前に、ももうら・ふくらはぎ・股関節をしっかりウォーミングアップする。
- 最初はゆっくり転がるボールから始め、少しずつパスのスピードを上げる。
- 相手の足元に頭からとびこまない。手を先に出し、頭はボールのうしろにおく。
- 攻撃の選手には、GKに向かってスライディングしない、足を高く上げないと約束させる。
- セービングは芝生などのやわらかい地面で行い、体の横から着地する。
- 小学生は距離を短くし、軽いボールを使い、1回ごとにしっかり休みを入れる。
GKの飛び出し 練習メニュー8選
1. 構えと1歩目のスタート
GKはペナルティエリアの少し前、ボールが前にあるときの立ち位置に立ちます。コーチはセンターライン寄りにボールを持って立ち、ボールを前にけるふりをしたり、本当に裏へ転がしたりします。GKはボールが出た瞬間に、前へ1歩目を出します。最初はボールを取らず、3〜4歩走って止まるだけでOKです。ボールが出る前に、かかとをうかせて軽く構えておくことがポイントです。
- コーチングポイント:ボールが出る前にかかとをうかせる。1歩目は小さく速く。体を前にかたむけてスタートする。
- やさしくする方法:コーチが「ゴー」と声を出してからボールを出す。
- むずかしくする方法:コーチがフェイントを入れる。左右ななめにもボールを出す。
2. 出るか待つかの判断
守備ラインの代わりに、ペナルティエリアの少し前にコーンを横にならべます。攻撃の選手はコーンの前に立ち、コーチがラインの裏へパスを出したらボールを追いかけます。GKはボールのスピードと攻撃の選手の位置を見て、「自分が先にさわれる」と思ったら前に出てキャッチかクリア、無理だと思ったらゴールの前で構えて待ちます。終わったら、コーチは「なぜ出たのか」「なぜ待ったのか」を聞いてあげましょう。
- コーチングポイント:早く決める。出ると決めたらまよわない。待つと決めたら止まって構える。中途半端に前へ出て止まらない。
- やさしくする方法:攻撃の選手のスタートをおそくして、GKが出やすい場面をつくる。
- むずかしくする方法:パスのスピードや方向をいろいろ変える。攻撃の選手をGKに近い位置からスタートさせる。
3. ペナルティエリアの外で足のクリア
コーチがペナルティエリアの外へ、ゆっくりめのボールを転がします。GKは走って出て、手は使えないので足でクリアします。まずは横のタッチライン方向へ、高く遠くけり出すことを目標にします。なれてきたら、近くにいる味方にパスでつなぐこともためしてみましょう。
- コーチングポイント:ボールの横に立ち足をふみこむ。まずは安全に外へ大きく。けったあとはすぐゴールへ戻る。
- やさしくする方法:止まっているボールをクリアする。ペナルティエリアのすぐ外にボールを置く。
- むずかしくする方法:攻撃の選手をうしろから追いかけさせる。左右どちらの足でもけれるようにする。
4. 前に出てキャッチ
ペナルティエリアの中へ転がってくるスルーパスを、前に出てキャッチする練習です。コーチがペナルティエリアの外からボールを転がし、GKは走って出て、ボールの前に体を入れてキャッチします。スピードがあるボールは、片ひざをついて体でかべを作るか、体の横からたおれてボールをかかえこみます。
- コーチングポイント:ボールの正面に体を入れる。両手でボールをすくうようにキャッチ。キャッチしたら胸にかかえる。
- やさしくする方法:ゆっくりのボールにして、GKの近くから転がす。
- むずかしくする方法:攻撃の選手を1人入れて、どちらが先にさわるか競争する(体はぶつけない)。
5. 出たあとに戻る
飛び出しのあと、GKはすぐにゴールへ戻らなければいけません。GKがペナルティエリアのはしまで出てボールをクリアしたら、コーチがゴール方向へふんわりしたボールを投げます。GKは体を横に向け、クロスステップでななめうしろへ走って戻り、ボールをキャッチするか、バーの上へはじきます。うしろ向きに走ると転びやすいので、体を横に向けて走ることを教えましょう。
- コーチングポイント:うしろ向きで下がらず、体を横に向けて走る。ボールから目をはなさない。戻ったら止まって構える。
- やさしくする方法:投げるボールを低く、ゆっくりにする。戻る距離を短くする。
- むずかしくする方法:クリアからボールを投げるまでの時間を短くする。左右どちらにも投げる。
6. 声で決める競争
コーチが守備ラインの裏へボールを出し、ディフェンダーと攻撃の選手がボールを追いかけます。GKは自分が取れるなら「キーパー!」、ディフェンダーにまかせるなら「クリア!」と、早く大きな声で伝えます。声がおそいと、GKとディフェンダーがぶつかったり、2人ともボールを見送ったりしてしまいます。くわしい声の出し方はGKのコーチング(声かけ)練習メニューも見てください。
- コーチングポイント:声は早く、大きく、1回ではっきり。名前もよぶ。言ったとおりに動く。
- やさしくする方法:攻撃の選手なしで、GKとディフェンダーだけで声の練習をする。
- むずかしくする方法:ボールの出る場所をいろいろ変える。攻撃の選手を2人にする。
7. 裏へのボールから1対1
コーチが裏へパスを出し、攻撃の選手が追いかけます。GKが先にさわれなかったときは、そのまま1対1になります。GKは前に出て間合いをつめ、攻撃の選手がボールをさわる瞬間には止まって構えます。シュートやドリブルに対して、体を大きく使ってコースをせまくします。
- コーチングポイント:ボールがはなれたらつめる。相手がさわる瞬間は止まって構える。たおれるときは横から、頭からいかない。
- やさしくする方法:攻撃の選手のスタート位置を遠くする。シュートはインサイドキックだけにする。
- むずかしくする方法:ディフェンダーをうしろから追いかけさせる。攻撃の選手を2人にしてパスもありにする。
8. 高いラインのゲーム
最後はゲームです。ハーフコートくらいの広さで、5対5か6対6を行います。守備チームは、決めたラインより前で守るルールにします。そのぶん裏に大きなスペースができるので、GKはたくさん飛び出しの判断をすることになります。GKが前に出てボールを取ったり、足でクリアしたりしたら1点を加えると、GKがいっしょうけんめい判断するようになります。
- コーチングポイント:ボールが前にあるときは立ち位置を前にする。早く判断し、声を出してから出る。出たあとはすぐに戻る。
- やさしくする方法:ラインを低くして、裏のスペースをせまくする。
- むずかしくする方法:オフサイドなしにする。攻撃チームの人数を1人多くする。
練習を組み立てるコツ
60〜75分のGK練習なら、まずステップとキャッチングでしっかりウォーミングアップをします。次にメニュー1と2で1歩目と判断の基本をつくり、メニュー3と4で足と手のボール処理を練習します。そのあとメニュー5と6で戻り方と声を、最後にメニュー7と8で試合に近い形にして仕上げます。走る量が多いテーマなので、1回の時間を短くし、休みをしっかり入れましょう。
KEEPIXでメニューを形にする
飛び出しの練習は、守備ラインや立ち位置を図にすると、選手にとても伝わりやすくなります。KEEPIXのセッションデザイナーを使えば、GK・コーチ・コーン・ボールの動きを図にして、コーチングポイントといっしょに共有できます。練習の記録やふり返りにはKEEPIX Diaryが便利です。
もっとメニューを増やしたい人は、GKドリル50選の無料PDF(英語)をダウンロードしてください。毎日のドリルはインスタグラムでも発信中です。ほかの練習メニューはGKドリル一覧にまとめています。
まとめ
- 飛び出しは足の速さより、早い判断とまよわないことが大切。
- ボールが出る前にかかとをうかせ、1歩目を小さく速く出す。
- 出ると決めたら最後まで出る。待つと決めたら止まって構える。
- ペナルティエリアの外では足で、まずは安全に外へ大きくクリアする。
- 出たあとは体を横に向けて走って戻る。
- 「キーパー!」「クリア!」の声は早く大きく。頭からとびこまず、やわらかい地面でセービングする。
よくある質問
GKはどんなときに飛び出せばいいですか?
相手の選手より先にボールにさわれると判断したときです。ボールのスピード、相手との距離、自分の位置を見て早く決めましょう。決めたら中途半端に止まらず、最後まで出ることが大切です。
飛び出しのとき、ペナルティエリアの外では手を使えますか?
使えません。ペナルティエリアの外ではGKも手を使えないので、足や体でボールを処理します。まずはタッチラインの外へ大きくクリアするなど、安全なプレーをえらびましょう。
小学生のGKにも飛び出しの練習は必要ですか?
はい。ただし、短い距離とゆっくりのボールで、楽しく安全に行うことが大切です。まずは構えと1歩目、そして「キーパー!」の声から始めましょう。相手の足元に頭からとびこまないことも、最初に教えてください。
50 Essential Goalkeeper Drills — free PDF
A complete drill library from warm-up to game situations. 64 pages, 6 chapters, U-8 to senior level. Coaching points, progressions and regressions for every drill.
Download free PDF →Email only. No cost, no card required.